普段は言えない気持ちを貴方に 感謝編

上記をテーマに、緋色守護者六人分あります!
文章の長さ・傾向はそれぞれ異なりますので、その点ご了承ください。
あとがきは一番最後にまとめてちょろりとあります。

ショートカット
鴉取真弘 / 狐邑祐一 / 犬戒慎司 / 大蛇卓 / 狗谷遼 /

鬼埼拓磨の場合…

「拓磨ー、何してるの?」


屋上で先輩たちとの会話に加わることなく、必死に独り何やら雑誌とにらめっこを続けている彼に声を掛ける。
集中している彼の手元をひょいっと覗き込もうとしたのだが、ばたっと雑誌を閉じられた。
今度は何の問題で行き詰っているのやら…。
「クロスワードパズルってそんなに面白いの?」
閉じられた雑誌の表紙を見ながら、そう呟く。
拓磨の趣味を非難するつもりなんてなかったのだが、ゴツ、と叩かれた。
「いたっ!
まったくもう…、女の子叩くのやめた方がいいって何度も言ってるでしょ!
っと、そうそう。あっちで真弘先輩が面白いことしてるから、拓磨もちょっとこっちおいでよ」
そう言うと、真弘先輩と祐一先輩、慎司がいる辺りを笑顔で指差す。
どうしても解けない問題があって、授業中・昼休みを返上して没頭していた拓磨。
そんな俺を気遣ってわざわざ呼びに来てくれたのだという珠紀。
強く叩いたわけではないのだが、叩かれた頭をさすりながら、先を行く彼女が何やら呟いている。
「うーん…、何で呼びに来てあげた私が叩かれるかなぁ…」

そんな彼女にもう一発、今度は優しく鉄拳を…。
そして、彼女の耳元で彼女にだけ聞こえるようにそっと囁く。

「ありがとな…」


完 拍手お礼展示期間:2007.06.28〜2007.10.08


鴉取真弘の場合…

「なはははは!ありがとな、珠紀!」


帰り道、何の前触れもなく、変なことを話し出す彼。
「……何なんですか?いきなり」
「いや、その……日頃の感謝の気持ちを、だな…」
「今度は一体何を企んでいるんですか?」
何やら様子がおかしい。
一体何がしたいのかと不思議に思い、視線を合わせようとしない彼を眉をひそめて覗き込む珠紀。
「…な!何も企んでなんかいねぇよ!!」

怒りつつも、何やらその頬が朱色に染まっているようにも見えた。


完 拍手お礼展示期間:2007.06.28〜2007.10.08


狐邑祐一の場合…

縁側ですやすやと眠っている先輩にそっと毛布を掛ける。

夕方になり、日が傾き、そよそよと吹く風が次第に冷たくなってくる。
起こさないようにと十分気を付けてはいたが、ゆっくりとその瞳が開く。
「あ…、起こしちゃいました?」
まだ夢現の状態の先輩に優しく声を掛ける。
自分に掛けられた毛布の存在に気付き、それを身に抱きながらそんな彼女に一言。

「珠紀……、感謝する」

その気持ちは今だけのことか、今までのことか…。


完 拍手お礼展示期間:2007.06.28〜2007.10.08


犬戒慎司の場合…

今日は慎司君が夕食を作る番。
台所を覗くと、ほのかに食欲をそそる良いにおいが漂っていた。
その中でとんとんとリズムよく包丁で何かを切っている音がする。
ことこととお鍋が音を立てていた。

(邪魔をするのも悪いし、今日の献立はお楽しみにとっておこう…)
足音を立てないように、こっそり美鶴ちゃんがいるだろう居間へと戻る。

「ありがとうございます…」

そんな彼女の後ろ姿を優しく見送りながら、ぽそりと呟く慎司。
そして、再び気持ちを目の前の食材へと戻し、夕食を作っていく。
愛しい人への感謝の気持ちを込めながら…。


完 拍手お礼展示期間:2007.06.28〜2007.10.08


大蛇卓の場合…

「珠紀さん、いつもありがとうございます」


卓さんのお宅にお邪魔して、一緒に豆腐鍋を食べた。
使った食器や箸などを二人で台所まで運んできたときに言われたセリフ。
「え?」
いきなり優しくお礼を言われて、食器を持ったままその場に立ち止まる。
持っていた食器を流しに置いて、珠紀が持ったままの食器をその手から受け取る卓。
そして、珠紀の頭をぽんぽんと優しく撫でる。
その子ども扱いに少し恥ずかしさが込み上げるものの、優しい微笑みに幸せを感じる珠紀。

子ども扱いも悪くないかな、と思った。


完 拍手お礼展示期間:2007.06.28〜2007.10.08


狗谷遼の場合…

「ご褒美でもくれてやろうか?」


ニヤリとした表情で言ってくる。
「…い、いりません」
身の危険を感じ、ブルブルと首を横に振る。
赤い瞳が一瞬光った気がした。
じり…と、私との間の距離をつめてくる彼。
「だ、だから、別にご褒美とかいらないって!」
はっきりと断っているのに、それでも距離を詰めてくる彼から逃れようと後退りをする。
(…どうして今二人きりなんだろう?)
学校には来ているはずなのに、授業をさぼっているらしい彼を探していて見付けたのは校舎脇。
昼休みだというのに、人通りが少ない。
(…人がいるか確認すべきだった…)
そう、後悔して考え込んでいる間にも距離が狭まってくる。

「た、たすけてーー!!」

言葉には出さないものの、心の中で叫び走って逃げる。
逃げて行く彼女の後ろ姿を見て、「ははっ」と笑う遼。

今ここで食べる気など全くなかったものの、やはりからかい甲斐のある奴だと思った。


完 拍手お礼展示期間:2007.06.28〜2007.10.08


あとがき

緋色守護者六人分を思い付くまま書いたもので、大蛇さんと慎司君初書きです!
拓磨編で、一体真弘先輩は何をしてるのかは私もよく分かりません(笑)

テーマを決めて何種類も考えるのはとても楽しかったので、また何かテーマを決めて書ければなと思います。

それでは読んでくださった方、ありがとうございました。