一緒に行くのは(珠紀+?)
美鶴ちゃんに言われておばあちゃんの部屋へスタスタと向かう。
そこで告げられた言葉によって、綿津見村への派遣が決まる。
そして一つ決めなければならないことができる。
ババ様の家の居間に集められた六人の守護者。
ただ家に来るように、とだけ連絡が行き、村を離れた者は日程を合わせ帰省した。
久々の仲間との再会。
月日が経った分、皆それぞれ成長してはいたが、会ってすぐいつも通りに会話をする。
離れていたとしても変わらない仲。
きっとこれからも変わらない関係なのだろうと思うと少しほっとする。
「それにしても一体何なんだろうな…」
ふわぁと欠伸をしながら真弘が言う。
早起きをして帰省してきたから眠たいのだろう。
「そうだな…、慎司は美鶴から何か聞いていないのか?」
祐一が慎司に尋ねる。
「いえ…、僕も昨日美鶴ちゃんに家に来るようにと言われただけですから。
何かあるのかとは聞いてみたのですが教えてくれなくて…」
「そうか」
「本当に、何なんすかね」
続けて、話す拓磨。
この場に居る誰もがどうして集められたのかを知らないようだ。
不思議がる面々。
「こんな集まり何だっていいだろ。それより、俺は早く帰りたいんだが」
彼らに対して、ぶっきらぼうに不満を告げる遼。
そんな遼に対して、「だったら、お前は帰ればいいだろ」と怒る拓磨。
そんな二人をまぁまぁと宥める卓と慎司。
相変わらずのやり取りをババ様の家の居間で彼らが繰り返していたとき、パタパタと足音が聞こえてくる。
襖がスーッと開いて、そこには珠紀が立っていた。
そして、告げられる言葉。
そこから今回の騒動が始まっていくのである。
今回どうして守護者が集められたのかを説明された後、解散した。
それぞれ美鶴と珠紀に見送られてババ様の家をあとにする。
帰り道、六人は無言で歩いてそれぞれ自分の家路へと別れていく。
だが、沈黙の中に緊張した空気が漂っていた…。
珠紀が告げた言葉。
鬼斬丸を巡る戦いをロゴスと繰り広げ、なんとか平和になった季封村。
だが、その影響を受けてしまった村があったということが判明したらしい。
綿津見村。
そこに祀られていた龍神が鬼斬丸の影響を受け暴走し実際に何らかの被害があったのだという。
それ故、我が村の玉依姫である珠紀が派遣されることになったとのこと。
一人で遠出をさせるわけにはいかないとのババ様・美鶴の判断があったらしく、守護者に同行をお願いできないかとの珠紀からの言葉。
守護者全員、珠紀の希望であれば同行することくらい構わないと思っていた。
だが、今回珠紀に同行できる守護者は一人だけという厳しい現実。
全員で押しかけてしまってはあちらの玉依姫様に迷惑が掛かるかもしれないし、長旅になってしまった場合、守護者の皆に迷惑になるかもしれないからとの理由。
優しい珠紀のことだ。
気を遣ってそう言ってくれたことくらい誰にだって理解は出来る。
理解が出来るからこそ、尚更その提案を聞いた途端に守護者の間に緊張が走る。
一体誰が珠紀に同行することになるのだろうか。
全員が心の中で思っていた。
その一つの席を自分の物にしてみせる!と。
あの場ですぐに誰が同行するのかを決める流れにはならず、今日は説明だけということで解散になって幸いだった。
いろいろとする準備があるらしく、出発の日まではまだ時間があるらしい。
水面下でじわりじわりと戦いが始まっていた。
かつては仲間だった者が敵になるとは思ってもいなかった。
仲間だったからこそ、分かる。
誰もが手強い敵だということが…。
そして、守護者の誰とでも仲の良い珠紀。
一体彼女は誰を選ぶのか。
一緒に行くのは、自分か、それとも、他の誰かか…。
そして、再びババ様の家へと召集がかけられる。
思い思いに緊張した面持ちで集まってくる守護者たち。
いつもうるさい誰かさんまでもが口数が少なくなっている。
静まり返った居間。
スタスタと足音が聞こえてきて、一気に緊張が高まる。
やって来たのは珠紀。
そして、優しく告げられる言葉。
「あれから私もいろいろと考えたんですけどやっぱり決められなくて…。
守護者の皆とも話す機会があってそのことへの皆の意見はきちんと受け取りました」
珠紀に話をしに行ったのは自分だけではなかったのか、と皆が思う。
そして、恐る恐る彼女からの次の言葉を待つ。
少しの沈黙の中、考え込んでいた彼女がはっと何かを思いついたような顔をする。
「じゃんけんで決めましょうっ!!」
笑顔で告げられる言葉。
「これでしたら平等ですよね?」と嬉々としている彼女。
と同時に、命がけのじゃんけんが始まった。
勝利を手にするのは、はたして誰か…。
完 初出:2007.08.08
あとがき
昨日までの作品で一通り翡翠キャラは書きましたので、緋色キャラです♪
とはいえ、何やら不憫な話になっておりますが…、誰が勝つのかは皆様に任せます(笑)
そして、視点をどうするか悩んで所々守護者の誰かになっています。
貴方の好きな守護者を当てはめて読んでくださればと思います(ペコ)
それでは読んでくださった方、ありがとうございました。